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ファストリ、中途人材に年収最大10億円 IT大手と競う

ファーストリテイリングは中途採用の年収を最大10億円に引き上げる。柳井正会長兼社長の年収4億円を上回る。日本企業の中途採用の平均年収の200倍超にあたり、国内では最高水準とみられる。衣料品は米アマゾン・ドット・コムなどIT(情報技術)大手との競争が激しくなっている。世界からデジタル人材を集めて衣料品の製造・販売が中心の収益構造を変え、新たな事業モデルを構築する。
柳井会長が日本経済新聞の取材で明らかにした。2022年から中途採用の年収を最大10億円にする。ファストリの本部に所属し、デジタル化や電子商取引(EC)、サプライチェーン(供給網)に精通した人材を募集する。これまでは中途採用の報酬について明確な基準はなかった。高額な報酬を示すことで優秀な人材を集める意思を明確にする。
柳井会長は「コンサルタントや大手企業出身者ではなく、新たな価値を生んだり、事業を白紙から考えたりできる人を集める」と指摘。
(日本経済新聞 1月16日)

「平均年収.JP」によると、ファーストリテイリングの平均年収は807万円。役職別では、主任692万円、係長862万円、課長1139万円、部長1259万円である。飛びぬけた成果を出せば、はるかに高い水準の報酬を得られるのだろうが、ごく一部の社員に限られているだろう。
 今回の中途採用では、その限られた社員よりも高水準の人材を求めているようだ。記事によると、柳井会長は「コンサルタントや大手企業出身者ではなく、新たな価値を生んだり、事業を白紙から考えたりできる人を集める」という。
 一般的なハイスペック型のエリート人材ではなく、突き抜けた天才型の人材を求めているようだ。天才型でないと世界標準のゼロイチを実現できないと考えているのだろう。
 どんな選考方法で採否を決めるのだろうか。候補者の過去の実績をふまえたうで、柳井会長との問答を通じて天才かどうかを見極めるのか。このレベルの人材を見極めるツールは、大きな成功を収めた創業経営者の眼力以外にないが、どんな見極め方をするのかを垣間見たいものだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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