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求人数、3年で4倍に 企業から公務員への転職広がる 民間人材のニーズ拡大

民間企業から公務員に転職する「民官転職」を選ぶビジネスパーソンが増えている。公務員試験を実施せず、民間企業同様の選考方法で人材を採用する官公庁・地方自治体が増え、公務員への門戸は広がっている。官公庁・地方自治体の人材採用を支援している人材サービス会社、エン・ジャパンの「採用支援プロジェクト」プロジェクトリーダー、水野美優さんに「民官転職」の現状を聞いた。
 中途採用を強化する官公庁・地方自治体は増えており、エン・ジャパンが提供する転職サイト「エン転職」での公務員カテゴリーの求人掲載数は、3年で約4倍に増えています(エン・ジャパンが提供する転職サイトのうち、「官公庁・自治体・団体」の職種カテゴリーに掲載された求人数の推移。各年の1月1日~6月30日に掲載された求人数を抽出)。様々な省庁や地方自治体が、ブランディング担当やデジタルトランスフォーメーション(DX)推進担当、幹部候補など、幅広い人材を民間から募っている状況です。
(NIKKEI STYLE 12月27日)

民間人によって公務員が魅力的に見えるのは、公益に尽くすという大義のもとに働けるだけではない。
売上至上主義に隷属し、実績給で不安定な生活設計を強いられ、ひとたび業績が悪化すればリストラによって放り出される――そんな現実と向き合っていれば、たとえブラック労働でも過不足のない生活給と雇用の保障された公務員は魅力的に見える。
行政制度の枠内で前提踏襲主義の業務に取り組むという窮屈さを差し引いても、なお魅力的なのだろう。
その一方で、国家公務員の志願者は減少し、20代の退職者も増えている。内閣府の調査によると、20代で自己都合退職をした国家公務員総合職は2019年に87人。6年でおよそ4倍に増えた。
退職理由は「もっと自己成長できる魅力的な仕事につきたい」「長時間労働等で仕事と家庭の両立が難しい」「収入が少ない」「キャリアアップできる展望がない」。民から官への転身を志願する人たちは、こうした実態を知っても、現職よりはベターと判断したのだろうから、ともかく新天地でがんばってほしい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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