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GMOの新卒社員、専門職のみに

GMOインターネットグループは2023年度から、新卒採用者をエンジニアや統計の専門人材、経営者候補などに絞る方針を決めた。初年度の年収は710万円とし、採用人数の目標は設けない。新型コロナウイルス禍でデジタルトランスフォーメーション(DX)が進み、生産性が向上している分を人材投資にまわすことで採用の競争力を高める。
GMOグループ8社が23年度の新卒採用からはじめる。エンジニアやクリエーター、データサイエンティストなどのデジタル人材に加え、公認会計士や弁護士など資格保有者、将来の経営幹部候補などを対象とする。GMOグループの採用における新卒の割合は例年2~3割(約100人)だが、採用には高い基準を設けるため23年以降は多きく減る可能性もある。
新卒採用の年収は2年目まで710万円を保証する。3年目以降は再評価の上で評価を決める。エイチーム系が運営する就活情報サイト「キャリアッピクス」の推計値によれば、日本の新卒社員の平均年収は250万円程度だ。
(日本経済新聞 12月10日)

採用方法や人事体系は大手企業が横並びするように同様の仕組みを続々と導入すれば、ほどなく中堅・中小・ベンチャー企業にも普及し、それがスタンダードになっていく。
ジョブ型人事も同じプロセスを辿ろうとしている。NECは2021年度の新卒採用からサイバーセキュリティー、データサイエンスなどの職種でジョブ型を導入し、日立製作所は24年度中にジョブ型人事へと移行させようとしている。
ジョブ型人事に完全に移行するには、人事の入り口である新卒採用からのジョブ型導入が必須だが、ジョブ型採用を進めば全職種がジョブ型採用の対象になる。言い換えれば全職種が専門職へと移行する。一般職も一般職という専門職という位置付けになっていく。
そのプロセスで高額な報酬で新卒入社する社員は、高額な給与が保証される期間に成果を出さないと他の社員と同じ給与体系に組み込まれていく。鳴り物入りで入団したプロ野球選手が1軍メンバーに入り込めず、2軍暮らしを続ける姿に似ていなくもないが、高給の対象から外された社員は、たぶんITベンチャーなどに転職していくのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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