2021/12/10
トヨタ自動車労働組合が2022年春闘で、全組合員平均で賃上げを要求する方式を廃止する執行部案を固めたことがわかった。職種や職位ごとに標準的な賃上げの要求額を示す方向に転換する。組合員に賃上げ水準をわかりやすく示す狙いだが、外部からトヨタ春闘の動向がいっそう見えにくくなる可能性がある。 執行部案では、事務職や技能職などの職種や職位ごとに、ベースアップや定期昇給を含んだ標準的な賃上げ要求額を示す。具体的な要求額は今後詰め、来年2月に正式決定する。 トヨタ労使は18年春闘から、経営側が具体的なベースアップ額の公表をやめるなど、春闘相場のリード役から離れる流れが強まっていた。トヨタ労組も21年春闘で「1人平均9200円」を要求する一方で、要求額にベアを含んでいるかどうかについて組合内外に非開示とした。 トヨタ労組は今回の見直しで「(要求水準が)分かりやすくなり、組合員一人ひとりが当事者意識を持ちやすくなる」と説明する。
(朝日新聞デジタル 12月1日)
ジョブ型人事制度と整合させるには、職種・職位別の賃上げに違和感はないが、組合活動ではそうはいかない。職種別に労組が運営されているのならまだしも、企業単位の運営だからジョブ型との整合性は取りにくい。 さらに業務が各部門にわたるチームで運営される職場では、ジョブ型の給与体系に不公平感が生じかねない。たとえば介護職の賃金水準を改善する目的で、2019年に厚生労働省が実施した処遇改善等加算の付与は、介護職のみが対象である。 だが、介護現場は、介護職だけでなく、看護職、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、栄養士、ケアマネージャー、事務職など多職種で運営され、各利用者に対して状態に応じて複数職種のチームで対応している。だが介護保険制度にあって、処遇改善等加算が給与に反映されるのは介護職のみである。 しかも介護職がキャリアアップとしてケアマネージャーに就任すれば、基本給がアップするものの、処遇改善等加算の対象から外れるために給与がダウンしかねない。ジョブ型にはそんな矛盾もはらんでいる。
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