2021/11/19
厚生労働省が9日発表した今年の夏季賞与の集計結果によると、1人当たりの平均額(従業員5人以上の事業所)は昨夏に比べて0・8%減の38万268円となり、2年ぶりに減少した。生活関連サービス・娯楽業で16・9%減、宿泊・飲食業で14・9%減とそれぞれ大きく落ち込み、担当者は「新型コロナウイルス感染拡大による景気悪化の影響が表れた」と分析している。
コロナ禍で厳しい経営が続いた医療・福祉が3・2%減、運輸・郵便業が4・8%減だった一方、不動産・物品賃貸業が11・6%増、卸売り・小売業が3・5%増などとなった。賞与を支払った事業所の割合は昨夏の65・3%からわずかに減り、65・1%だった。
(産経新聞 11月9日)
JR東海は2021年度年末手当について、2.2カ月分にすることを各組合に回答した。 夏季賞与も2.2カ月分で、年間で4.4カ月分は、1987年の会社発足以来、最低の水準。昨年度は年間5.15カ月(夏季2.95 カ月 、年末2.20 カ月)だった。
社員にとっては厳しい数字だろうが、世間に目を転じれば、恵まれているほうだろう。介護士や保育士が見れば、この賞与額は異次元の数字に映るのではないだろうか。
岸田文雄政権で発足した「新しい資本主義会議」は、さる11月8日 に発表した「緊急提言(案)」に賃上げ促進策を盛り込んだ。
①賃上げに積極的な企業への税制措置について、新規雇用者ではなく、継続雇用者の一人当たり給与の増加を要件とする
②非正規雇用を含めて全雇用者の給与総額の増加を対象とする
③賃上げに積極的な企業に対する税額控除の率を引き上げる――などを骨格に据えた。
さっそく政府が1介護職や保育士の賃金を月額約9000円引き上げる方針を固め、経済対策に明記して予算措置を講じるという。懸念されるのは引き上げ分が当人の収入にそのまま加算されるかどうか。一部が勤務先の資金繰りなどに繰り込まれるようでは政策として空回りである。検証が必要だ。
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