2021/10/22
企業で働く意欲のあるシニア社員を積極活用する動きが広がっている。家電量販大手のノジマは80歳が上限だった雇用制限を事実上撤廃。YKKグループも4月に正社員の定年を廃止した。シニア活用を促す制度改正に対応するほか、新型コロナウイルス禍からの経済再開に伴う人手不足を補う。高齢化が一段と進展するなかで、シニア雇用のあり方は企業の競争力にも影響を与えそうだ。
ノジマは10月から雇用の年齢制限をやめた。本社や店舗などの約3000人の正社員が対象で75歳以上は10人程度だ。新規採用でも80歳以上を受け入れる。1日5時間、週4日程度店舗で働けば、月給は約12万円だ。今月から本人の意思と健康に問題がなければ契約を延長する。
2020年7月に65歳の定年後も80歳まで臨時従業員として働けるよう規定を見直したが、80歳を超えても続けたいという声が多かった。(日本経済新聞 10月14日)
この記事によると、ノジマ以外にも①YKKグループが65歳だった正社員定年を廃止②クボタが正社員の定年を60歳から65歳に変更③三菱マテリアルが定年を65歳に変更④昭和電機ホールディングスが60歳以上にも成果主義を導入⑤カシオ計算機が60歳以上に現役の6等級より細分化下12等級の成果主義を適用――などシルバー層社員の戦力強化に着手する企業が増えている。
何歳まで働きたいか。このテーマでさまざまな調査結果が発表されているが、公的調査である「令和2年版高齢社会白書」を確認しておきたい。
白書によると、60歳以上の男女に現在の就業状況を聞いたところ(回答・1755人)、「収入のある仕事をしている」とする者が4割近く(37.3%)を占めた。平成28年調査と比較すると、男女とも、ほぼ全ての年齢階級で収入のある仕事をしている割合が増えた。
では、60歳以上の男女は何歳まで収入をともなう仕事をしたいと考えているのか。「65歳くらいまで」(25.6%)、「70歳くらいまで」(21.7%)、「働けるうちはいつまでも」(20.6%)の順だった。
この調査結果も、定年延長の導入企業が増えるにつれて変化していくだろう。何歳まで働きたいかという設問に「80歳まで」「80歳以降も」などが加わるはずだ。働いて健康を維持し、健康寿命が平均寿命に近づけば、老後の期間が短くなる。
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