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非正規労働者数、史上初の2000人超え

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総務省が26日発表した11月の労働力調査によると、非正規労働者数が前年同月に比べ48万人増えて2012万人になった。この調査で2千万人を超えるのは初めて。
役員を除く雇用者全体に占める非正規労働者数の割合は38.0%に達する。
内訳はパートが11万人増の967万人、アルバイトが10万人減の414万人、派遣社員が19万人増の135万人、契約社員が11万人増の289万人、嘱託が12万人増の124万人となった。その他は6万人増の84万人。
増加数、増加率とも派遣社員が最大となっている。男女別にみると、男性が6万人増の56万人、女性が13万人増の79万人となっており、女性の派遣社員が増えていることがわかる。
ただ、総務省が5年ごとに実施する別の調査の就業構造基本調査では、2012年時点で2042万人となっていたことがある。(産経新聞 12月26日)

この数字はアベノミクスの成否を評価する数字として、総選挙でも野党が攻撃材料にしていた。政府は(ライフスタイルに合わせた柔軟な就労形態)として非正規労働を位置づけてきたが、企業側は人件費負担を軽減する目的で非正規雇用を実施しているのだから、率直に現実を説明したほうがスッキリとする。

昨年は非正規労働者を正社員に起用するニュースが相次いだが、大半は資金力に恵まれた企業ばかりだった。

多くの中小企業にとって正社員の雇用には相応のリスクをともなうものだ。たとえば中小企業が営業職を雇用する場合、まずは契約社員で雇用して、一定以上の営業成績を上げれば正社員に切り替え、営業成績がかんばしくなければ雇用契約を更新しないというパターンが増えている。

当人にとっては腰をすえて働きにくいだろうが、雇用リスクを優先的に考えざるをえない企業にとっては自然な選択のようだ。ただ、社員を入れ替えてばかりいては職場が落ち着かず、持続的な営業体制の強化には向かわない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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