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労働移動を促すリカレント教育の充実・強化へ=21年度経済白書

西村康稔経済財政担当相は24日の閣議に経済財政白書を提出した。日本経済は、新型コロナウイルス感染拡大により、内需と所得・雇用の循環が抑制されていると指摘。今後は、ワクチン接種の進展や医療提供体制の拡充のもと、「経済社会活動を段階的に引き上げていくことが、回復のカギだ」とした。 
21年度の「年次経済財政報告」、いわゆる経済白書によると、日本は危機対応のステージから次のステージに進む中、強さと柔軟性を兼ね備えた「レジリエントな経済社会」を構築することが重要だと指摘した。
(中略)
企業や雇用面では、「事業の再構築と人材の円滑な移動に向けた取り組みの強化」を指摘。
企業が事業の再構築に取り組むための環境整備や、IT分野などの成長産業への労働移動を
促すリカレント教育の充実・強化を訴えた。 また、デジタル化の加速やそれを担うソフトウエア業界での開発インセンティブ強化、情報通信分野の人材不足の解消への取り組みも明記した。
(ロイター 9月24日)

 早期希望退職を実施する企業にとっては、リカレント教育を提供するよりも新陳代謝のほうが現実的だろう。リカレント教育でスキルを習得させるよりも、伸びしろの大きい若手人材を雇用したほうが戦力として期待できると考えているからだ。
 だが、早期希望退職によって新陳代謝を図るには、若手の有望な社員を確実に採用できなければならない。したがって一部の大企業に限られる。大方の企業にとって、中高年社員を活性化し、そのスキルを定年まで役立たせるには教育する以外にない。
リカレント教育への期待は大きく、文部科学省も動き出した。さる9月7日、就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業の概要とプログラムを同省HPに掲載した。大学リカレント教育推進事業は22都道府県の40大学が受託し、DX、医療・介護、地方創生、女性活躍など63プログラムを提供する。
リカレント教育は大学の役割も変化させる。新たな産学連携によって研究成果の社会還元が進めば、大学にも研究資金が提供されやすくなる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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