2021/09/28
総務省は20日の敬老の日にあわせ、65歳以上の高齢者に関する統計を公表した。15日時点の人口推計によると65歳以上の高齢者人口は2020年より22万人増えて3640万人だった。総人口に占める割合は0.3ポイント伸び29.1%と過去最高を更新した。就業率は20年で25.1%と9年連続の上昇となった。
「団塊の世代」と呼ばれる1947~49年生まれを含む70歳以上の人口は61万人増え、2852万人となった。後期高齢者医療制度の対象となる75歳以上は1880万人に上った。高齢化にともない社会保障制度の見直しも議論は避けられない。
総務省によると、高齢者の総人口に占める割合は世界201の国・地域のなかで最も高い。2位のイタリアを6ポイント近く上回る。国立社会保障・人口問題研究所の推計では今後も上昇を続け、2040年には35.3%まで上がる見込みだ。
働く高齢者は数も割合も増えている。65歳以上の就業者数は906万人と17年連続で伸びた。15歳以上の就業者数に占める65歳以上の割合は13.6%と過去最高を記録した。
20年の高齢者の就業率は25.1%で男性が34.2%、女性が18%だった。他の主要国は米国が18%、カナダ12.8%、英国10.5%、ドイツ7.4%、イタリア5%、フランス3.3%と日本より低い。韓国は34.1%と高かった。(日本経済新聞 9月20日)
年金受給世代の収支について概観しておきたい。厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業年報」(2020年度末)によれば、老齢厚生年金と老齢基礎年金(国民年金)を合計した平均月額は、65歳以上の男性で17万1305円、女性で10万8813円。夫婦2人で約28万円だが、ローンや家賃を背負っていなければ、都心でも問題なく生活できる水準だろう。
ただ、生活費の基準はさまざまで、傍目には贅沢に映っても当人にはごく普通の生活スタイルで、現状が最低基準かもしれない。その逆もある。倹約生活に見えても、けっして窮屈な思いを抱いていない人も珍しくない。
したがって、ゆとりという概念は一概に基準を設けられないが、一般的な水準を確認するために公益財団法人生命保険文化センターの調査をみておきたい。
同センターが実施した「生活保障に関する調査」(2020年)によれば、夫婦2人の老後の最低日常生活費は平均で月額22万1000円、ゆとりある老後生活費は平均で月額36万1000円と抽出された。
この2つの調査から、最低日常生活を前提に計算すれば年金収入だけで毎月6万円の余裕が出るが、ゆとりのある生活を送るには8万円が足りない。不足分は貯蓄を切り崩して補うのだろが、貯蓄の先細りは不安である。
健康である限り、現役時代よりペースダウンしながらも、働きつづけざるをえない。
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