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7月給与、5カ月連続増 1.0%、残業代伸び

厚生労働省が7日発表した7月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、名目賃金を示す現金給与総額は、前年同月比1.0%増の37万2757円だった。  
5カ月連続のプラス。前年同月に新型コロナウイルス感染拡大で残業時間が短くなり、所定外給与が減少した反動。  
現金給与総額のうち、基本給中心の所定内給与は0.4%増。就業形態別では、正社員など一般労働者の所定内給与が1.0%増だった一方、パートタイム労働者は1.1%減だった。  所定外給与は12.2%増の高い伸び。パート労働者は1.9%減少したものの、一般労働者が13.3%増加した。産業別に見ると、営業時間短縮などの影響を受けた飲食サービス業が22.0%減と落ち込んだが、多くの産業で増加した。
 物価変動の影響を差し引いた実質賃金は0.7%増で、2カ月ぶりに増加した。
(時事通信 9月7日)

こうした賃金動向をよそに低水準にとどまっている業種がいくつかある。たとえば公費による処遇改善加算が投入されてもなお、介護労働者の給与水準は改善されているとは到底いえない。
介護労働安定センターが発表した「2020年度介護労働実態調査」によると、介護労働者(無期雇用)の平均月給は、昨年10月時点に前年度比8696円増の24万3135円。平均賞与は2万6588円増の62万6094円で、平均年収は約354万円だった。
介護労働者のなかでも看護職と介護職には給与格差があり、看護職は28万74円、介護職は22万3981円と月額6万円近い開きがあった。この水準でも介護事業では人件費率が高く、19年度の人件費率は平均64・9%だった。
介護労働者の給与水準の改善は喫緊の課題と扱われて久しいが、財源は社会保障費である。現状では加算措置による微調整しかできず、他業種からの労働移動もさほど期待できない。この秋に発足する新政権で大型経済対策が実施され、産業界全体の賃金水準が向上しても、介護報酬にはほとんど影響しない。
高齢化のピークは団塊の世代の全員が90歳を迎える2040年だが、介護現場は人手不足のまま2040年に向かうことになりそうだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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