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人事院、理系公務員の採用活動強化

政府は理系人材に的を絞った国家公務員の採用活動に乗り出す。人事院は2、3両日に理系学生向けに職場を紹介するイベントを初めて開いた。年明けにも催す方針だ。国家公務員の総合職志願者は減っており、理系は特に顕著になっている。1日に発足したデジタル庁も意識し、人材確保に力を注ぐ。
今回のイベントは理系大学院の修士課程、工学部や理学部など理系学部に所属する大学生らが対象だ。18省庁の40機関が参加。農林水産業や気候変動、土木などからデジタルまで幅広い分野にわたる。
これまでも学生向けに省庁の業務の説明などを開催してきたが、理系だけに特化した場は設けてこなかった。今回に続き、22年2月にも掘らく方向で準備している。
(中略)
 人事院が本格的に理系人材確保に乗り出す閉経には志願者減少がある。
 国家公務員の総合職の志願者は12年度の2万5110人から20年度に2割ほど少ない1万9926人に減った。特に理系が樹年する試験区分の申込者(「工学」「数理科学・物理・地球科学」など)は6514人から4174人へと35%程度落ち込んだ。
(日本経済新聞 9月3日)

 これからの国家公務員は政府がめざす社会像「Society 5.0」に向かって公務に従事する。AI活用は必須のスキルで、各省庁とも学生時代からAIに親しんできた理系人材の確保に迫られているが、優秀な学生は高給を得られるIT企業やコンサルティング会社を選ぶうえに、旺盛な活力の持ち主なら起業する時代である。
 給与水準や仕事の独創性では、省庁は民間企業に太刀打ちできない。だが、民間企業が活動する舞台をつくるのは省庁の仕事である。今後の舞台はSociety 5.0と政府は描いているが、何をめざしているのだろうか。
4つあるという。①IoTで全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、新たな価値がうまれる社会②少子高齢化、地方の過疎化などの課題をイノベーションにより克服する社会③IoTで全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、新たな価値がうまれる社会④ロボットや自動運転車などの支援により、人の可能性がひろがる社会。
これらをめざす仕事は醍醐味にあふれていそうだが、民間企業がAI人材に対して給与体系を変更して高給を支払うように、国家公務員俸給表を改めないと、せっかく入庁した理系人材が数年後には続々と民間に流出しかねない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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