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正社員の「副業」を容認する企業は55%、需要が多い職種は?

正社員の副業を容認している企業は55%――パーソル総合研究所(東京都千代田区)が実施した「副業」に関する調査で、このような結果が判明した。 同調査は、2018年に続く2回目。自社の正社員が副業を行うことを容認している企業の割合(全面容認と条件付き容認の合計)は、前回より3.8ポイント上昇した。   副業を容認する理由の1位は「従業員の収入補填(ほてん)」(34.3%)。次いで「禁止するべきものではない」(26.9%)、「個人の自由なので」(26.2%)だった。禁止する理由の1位は「自社の業務に専念してもらいたいから」(49.7%)、次いで「疲労による業務効率の低下が懸念されるから」(42.1%)となった。   すでに受け入れている、または受け入れを検討している副業者の職種で多いのは「営業」(19.6%)、「ITエンジニア」(15.6%)、「情報システム関連」(13.7%)と、IT関連職種が上位に挙がっている。  副業者受け入れの課題・問題については「労務管理が煩雑」(12.0%)が1位。次いで「ノウハウなどの流出」(8.7%)、「情報漏えいの発生」(7.8%)が続いた。   パーソル総合研究所では「副業の支援は本業へのプラス効果につながるものの、特に何もしていない企業は52.3%。職場や上司が副業の内容にも気を配り組織マネジメントのあり方を見直すことで、副業による本業へのプラスの効果を得ながら過重労働や人材流出のリスクを低減できる」としている。(ITmediaビジネスオンライン 8月12日) 副業が産業界全体に広く普及すれば、社員は自社以外にも収入源を確保できたという理由を前面に出して、給与の抑制や引き下げを行なう企業が増えるのではないか。人件費抑制策として副業を解禁するのも、ひとつの考え方である。 副業は在宅勤務への移行を契機に取り組みやすくなる。在宅勤務社員と出社社員との給与に差を設ける措置に出るのは自然な流れだが、米国では生活コストの差を理由に、在宅勤務社員の給与を引き下げる企業がつづいている。 たとえばツイッターやフェイスブックは居住地域に応じた給与体系を運用しているが、新たにグーグルも社員が今後も在宅勤務を継続する場合、給与を25%引き下げるという。こうした流れはすぐに日本にも飛び火する。 日本の場合、地方企業が東京支社などに赴任する社員に地域手当を支給して、生活コストの負担を補う例もある。都内に勤務したまま生活コストの低い地域での在宅勤務社員が増えた場合、地方の給与水準に準拠する体系に見直すことが、人件費コントロールの選択肢と考える企業も出てくる。 働き方改革は住み方改革を経て、給与体系改革に向かっている。  

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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