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島根県、民間企業経験者を8名採用へ

島根県は今年度より、新しいキャリア採用試験を実施する。民間企業等で培った知識、経験、新たな発想と視点を活かして、「島根創生」の実現に向け、島根県というフィールドで存分に力を発揮できる人を募集する。募集する事業分野は「中山間地域・離島の暮らしの確保」「新しい人の流れづくり」「力強い地域産業づくり」「デジタル化の促進」。
求める人物像は①周囲の仲間と協調・協働し、より大きな力を生み出すことができる人②あきらめずにやり遂げるという責任感を持っている人③一人の県民として地域社会に貢献しようとする人④強い意志を持ち、自ら率先して行動できる人。
 受験資格は、昭和37年4月2日から平成4年4月1日に生まれた人で、民間企業等(公的団体を含む。)における職務経験を6年以上有すること。採用予定人員は8名である。
(島根県プレスリリースを要約 8月9日)

 島根県の地域創生で実績を築いたのは2つの県立高校の活性化である。隠岐島前高校(隠岐郡海士町)と島根中央高校(邑智郡川本町)は「魅力化プロジェクト」を実施して、
地元中学校からの進学率が高まっただけでなく、日本各地に加えて海外からも入学生徒が集まった。
 隠岐島前高校のホームページを検索すると、海士町への波及効果も大きいことが確認できる。平成27年度に2007人と予測されていた人口は、予測を17%上回る2354人に増加した。年間平均出生数にも変化が出た。平成15年から17年にかけて8人だったが、10年後の平成25年から平成27年にかけては18人に増加したのだ。
さらに観光宿泊客延数は20年に9329人だったが、27年に30%増加して1万2202人に増加した。
 経済効果は周辺の自治体にも波及した。三菱UFJリサーチコンサルティングは「高校魅力化の社会・経済効果」について次のように分析している。
 隠岐島前高校の魅力化では、同校周辺の3町村(西ノ島町、海士町、知夫村)で、29年に地域の総人口が5%超増加。同年の地域の消費額は3億円程度増加し、歳入も1億5000万円円程度増加(同)した推計される。高校魅力化に対する町村の財政負担を加味すると、財政効果として、年間3000~4000万円程度のプラス効果が見出される。
 島根県にはこうした成功事例があるだけに、民間企業経験者のキャリア採用で新たな成果が創出されることを期待したい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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