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今夏ボーナス減少 都内、平均73万7278円

東京都は都内の労働組合を対象に実施した2021年の夏季一時金(ボーナス)に関する調査の最終集計結果(7月20日時点)をまとめた。平均妥結額は73万7278円と前年実績から3.29%減少した。減少は3年連続。新型コロナウイルスの感染拡大で事業環境が悪化している鉄道や宿泊、飲食などで特に下落幅が大きかった。
民間の1千組合を対象に調べ、既に妥結していて前年実績と比較可能な452組合の状況を集計した。妥結額は平均賃金(31万9670円、平均40.0歳)の2.31カ月分に当たる。
産業別では5組合以上が妥結した29業種のうち、私鉄・バスや宿泊・飲食サービスなど18業種で減少した。増加したのは非鉄金属や道路貨物運送など11業種だった。
集計可能な486組合の平均要求額は前年比1.59%減の80万534円で、こちらも3年連続で減少した。(日本経済新聞 8月3日)

 民間企業のボーナス減少を見据えて公務員のボーナスも減少されている。今夏に国家公務員に支給されたボーナスは、管理職を除く一般行政職の平均支給額が66万1100円(平均34.6歳)で、前年比で1万9000円少なかった。夏のボーナスが前年比でマイナスになったのは9年ぶりである。
 今夏につづいて今冬も人事院の給与改定勧告によって国家公務員のボーナスは減少しそうで、勧告は8月に行われるが、引き下げが勧告されれば2年連続という。時事通信が7月28日付けで報じた。
 官民格差の是正に向けて、人事院は民間企業の賃金を調査しているが、調査対象は従業員50人以上の約1万2000事業所である。50未満の事業所まで調査することは現実的でないのだろうが、この規模の事業所では、ボーナスが支給されない例は珍しくない。
 だが官民格差の是正を理由に、公務員の賃金水準をさらに引き下げることは適切でない。公務員の労働意欲が低下することは、公共サービスの劣化を招きかねない。納税者にとって大きな損失である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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