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移住公務員 全国に5000人

自治体が地方への移住希望者を任期付き公務員として雇用する「移住公務員」が効果を生んでいる。制度が始まった2009年度以降、全国で1万人を超える隊員が活動。地域のPRや地場産業の活性化に向け知恵を絞ってきた。任期中の活動だけでなく任期満了後に定住し起業するケースも多い。少子高齢化が深刻な問題となる中、再生のカギとなっている。
協力隊は派遣先の自治体が移住者を1~3年程度の任期で雇用し、国が給与や活動費を支援する。20年度に全国で活動した隊員は計5464人(新規・継続合計)。新型コロナウイルスの感染拡大で観光など地方の産業が低迷する中、反転攻勢に向け、雇用自治体1065(都道府県も含む)のうち、4割にあたる420自治体が増員。全国合計で隊員数が19年度を2%上回り、2年ぶりの増加となった。
最も隊員を活用するのは北海道東川町。19年度より7人増やし最多の50人を雇用する。町が運営する日本語学校で国際交流業務や毎年夏に開催する写真の祭典「東川町国際写真フェスティバル」の運営などを担当。国内外に町の魅力を伝える。
(日本経済新聞 7月31日)

地方創生にはさまざまなアプローチがあるが、高校の存続もそのひとつ。生徒数の減少がつづいて近隣の高校と統廃合されると、廃校になった側の自治体では街中が衰退してしまう。10代の人口減少だけではない。通学する高校の所在する自治体に家族ごと引っ越しをするケースも多く、ミドル層の人口も減少し、街全体がいっきに寂しくなっていく。
この問題に着目した学習塾運営会社のBirth47(バースヨンナナ・東京都世田谷区)は
北海道、岩手県、静岡県、大分県、鹿児島県の10自治体で公設民営方式によって、高校生を対象とした公営塾を運営している。北海道足寄町で町民アンケートを実施した結果、地元高校に臨むことは学力向上であることが明らかになった。
町議会も地元高校の学力が向上すれば、他地域の高校に越境入学せず地元高校への入学者が増え、統廃合を回避できると判断。公営塾が開設され、大学進学実績が上昇し、期待通り入学者数も増えた。この事業のポイントは地元高校と良好な関係を築くことで、塾長は定期的に高校を訪問して、塾での指導内容の要請を受けている。
さらに塾長は住民票を塾開設の自治体に移し、地元住民となって各種行事にも参加している。高校の入学式や卒業式には来賓として招かれるほど関係を深めた。
Birth47はこのモデルを全国に展開していく。教育水準の向上によって自治体を活性化するアプローチは、即効性はないが、持続性を期待できる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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