カジュアル衣料品店「ユニクロ」の店長らは過酷な労働環境にあると本で書かれ名誉を傷つけられたとして、同社側が発行元の文芸春秋に出版差し止めや損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(大橋正春裁判長)は9日付で、ユニクロ側の上告を受理しない決定をした。「重要部分は真実と認められる」などとして訴えを退けた一、二審判決が確定した。
一、二審判決によると、問題となったのは2011年出版の「ユニクロ帝国の光と影」など。ユニクロの店長について、サービス残業で労働時間は月300時間を超え、会社側も黙認していると指摘した。(時事通信 12月10日)
この問題は当初からユニクロ側が突っ張り過ぎ、ユニクロへのブラック批判を煽りたて、ヤブヘビになってしまったという印象だ。執筆内容を社内で精査したうえで、事実関係の錯誤や名誉棄損に相当する記述が認められたのなら法的措置に着手してもよいが、(金持ち喧嘩せず)の姿勢で黙殺する措置はとれなかったのだろうか。
それ以前に、メディアによる指摘を待たずに就労環境を正常化すべきだった。しかし、就労観を改めることはビジネスモデルの軌道修正にも直結しかねず、容易に取り組めなかったのかもしれない。
現在のユニクロは就労環境をかなり改善したそうだが、ブラック批判という外圧に人手不足が加わったからだろう。内部からの改革は困難を極めるものだ。就労問題は社員にとって最も重要だが、異議を申し立てるには人事上の不利益を覚悟しなければならず、忍従を強いられる。
その意味で「ユニクロ帝国の光と影」の果たした役割は大きい。
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