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IT企業で相次ぐ「温泉テレワーク」、効能はいかに

「地方での働き方に関心を持つ社員が多いことが分かった」――。富士通CHRO室の森川学室長は、2021年4月に開催した大分県内に滞在しながらテレワークをするワーケーションや移住に関する社員説明会についてこう語った。
(中略)
「個人が別府などの温泉地で休暇を取りリフレッシュしつつ、そのうち数日勤務するケースもあれば、部署のメンバーが移動してチームビルディングや研修をかねて滞在するケースもある」
(日経クロステック 5月6日)

IT業界はテレワークで仕事をしやすい業種と言われている。ネットワークでつながっていれば、離れた場所から協働することは難しくない。そもそも、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生する前から、世界に分散する事業所間で、作業を分担して業務を遂行することは普通の光景だった。アジア・豪州、米州、欧州の3極で分担すれば、世界のどこかが昼間の勤務時間帯となり24時間体制で業務を継続することができる。IT業界の人々にとって、テレワークはニューノーマルではなく、古くからのノーマルだ。

もっとも、日本国内の部や課の中では、テレワークはノーマルではなかった。日本人同士のコミュニケーションには対面が必要だという空気が、IT企業といえども、あったのかもしれない。

しかし、この日本特別ルールもパンデミックとともに消え、海外と同様、テレワークが標準の勤務形態になりつつある。富士通に限らず、大手IT企業は全国にSE子会社を持っているが、それは、主に、地元の大卒を採用するための受け皿だった。しかし、ポスト・コロナの時代は、首都圏の人材が地方へ移住し、地方SE会社をサテライト・オフィスとして利用することになるだろう。これが日本のIT企業のニューノーマルになるのかもしれない。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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