2021/06/01
20代の国家公務員の退職が増えている。内閣人事局によると、2019年度に自己都合で退職した20代の総合職、一般職、専門職の国家公務員は1122で、13年度の2培以上に。行政事務を担う総合職に限ると86人と、13年度の21人から4倍以上に増えた。
同局の19年度のアンケートでは、30歳未満の国家公務員の13%が「数年以内」に辞めたいと回答。「定年より前」を含めると28%で、「長時間労働」を理由に挙げた人は約4割を占めた。
若いほど勤務時間が長い傾向もある。20年10~11月時点で正規の勤務時間外の「在庁時間」が最も長かったのは20代以上で、月48時間以上だった。2割が月80時間、1割が月100時間に達していた。
民間と異なり、国家公務員については残業規則に伴う罰則がない。重要法案や災害の対応などやむを得ない場合は上限超えも認められている。労働条件の改善が急務だ。
(日本経済新聞 5月24日)
国家公務員の長時間労働は従来から世間に知れわたっているが、河野太郎行政改革担当相が退職者数を問題視して以降、一段とニュースに扱われる機会が増えた。
国家公務員を職業に選ぶ人は、良き社会づくりに貢献したいという志を抱いている。高収入が欲しいのなら金融機関やコンサルティング会社を選ぶはずだ。国家公務員が経済的に格段に恵まれるのは、定年退職後の天下り人生からで、学生にとっては40年も先の幻影に過ぎない。
一方で、行政権を握って民間企業を従わせるという立ち位置に魅力を覚えて、国家公務員に就く人もいないだろう。
だが、健全な就業動機は長時間労働で潰えてしまう。その実態がメディアで報告されるにつれ、中央省庁はブラック労働の場としてイメージされてゆく。国家公務員の志願者が減少するのは必然である。
人事院の発表によると、2021年度の国家公務員採用総合職試験の申込者数は1万4310で、20年度に比べて14.5%に当たる2420人減った。総合職試験を導入した12年度以降で最大の減少幅を記録し、5年連続の減少となった。
国家公務員の働き方改革が絵に描いた餅になってしまうと ひいては国益の毀損にも至
ってしまう。
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