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デフレ勝ち組が人手不足で大幅減益に

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景気回復に伴う人手不足が、デフレの勝ち組といわれた企業を直撃している。牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーホールディングス(HD)は、深夜帯に1人で店を切り盛りする勤務体制「ワンオペ」の見直しで平成27年3月期に初の営業赤字に転落する見通しだ。「餃子の王将」の王将フードサービスは、未払い賃金を支給するなどしたら26年9月中間連結決算が大幅減益になってしまった。
(中略)
ゼンショーHDは、必要な人材を確保し、12月末までに深夜営業をしない店舗を900店舗程度に減らす考えだ。最終的には全店舗での24時間営業を目指し、「過剰な労働環境は改めつつも『お手軽』などといった従来のコンセプトを踏襲する」(関係者)という。ただ、ワンオペ解消に向けた人材確保や待遇改善のために人件費の上昇を招き、収益を圧迫する構図から抜け出すのは容易ではない。
一方、王将フードサービスは10月から人件費や原材料価格の上昇などを理由にギョーザなどを値上げ。一方でギョーザの皮や麺に使う小麦粉など主要食材を国産品に切り替えるなど低価格路線を中心とした戦略からの脱却を模索している。
ただ、いったん悪印象が定着してしまうと挽回するのは難しい。(産経新聞 11月29日)

たとえアルバイトでも、労務問題が発生した企業で働きたくはないだろう。かりに独立のための修行を目的に就職しても、そんな企業でまっとうな経験を積むことなどかなわない。

デフレ勝ち組の外食企業がどこも労務紛争の火種を宿すような経営をしてきたわけではないだろうが、もはや過重労働を組み込んだ収支計画は成立しなくなった。

その厳然たる事実を経営陣が理解しても、勝ち抜いてきた過程で培った就労観を改めるのは容易でない。それは、みずからの足跡を否定する結果にもなりかねない。葛藤を覚えるようでは手遅れである。

つくづく成長の初期に健全な企業風土を形成すべく、まっとうな理念やミッションを固めておく必要があると痛感させられる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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