2021/04/30
日本企業が「生涯現役時代」への備えを急いでいる。YKKグループは正社員の定年を廃止。ダイキン工業は希望者全員が70歳まで働き続けられる制度を始めた。企業は4月から、70歳までのシニア雇用の確保が求められるようになった。少子高齢化に歯止めがかからず人手不足が続く中、企業がシニアの意欲と生産性を高める人事制度の整備に本格的に乗り出した。
YKKは4月、国内事業会社で従来の65歳定年制を廃止し、本人が希望すれば何歳までも正社員として働けるようにした。会社判断で65歳以上でも以前の給与が維持される場合がある。
同社は今後5年間で約800人が従来の定年の65歳に達する見通しだった。その大半が正社員として雇用を継続するとみられる。定年廃止による新規の採用抑制はしない。人件費が増える可能性があるが、経験豊かなシニア活用のメリットは大きいと判断した。
(中略)
企業がシニアに期待する役割は様々だ。20年10月に60歳定年を廃止したシステム開発のサイオスグループは経験豊かな中高年の技術者取り込みを狙う。
(日本経済新聞 4月20日)
厚生労働省が2018年に発表した「高齢期における社会保障に関する意識調査」によると、何歳まで働きたい(収入をともなう仕事をしたい)かについて、「65歳まで」が24.9%、「70歳まで」が19.4%、「60歳まで」が16.6%。「生涯働きつづけたい」は7.8%で、回答者の年齢が高くなるにつれて、働きたいと希望する年齢が高くなっていた。
この調査から3年が経ったが、今年4月から70歳までの雇用が努力義務になった。現役年齢が急速に上がっている。いま同じ調査を実施すれば「70歳まで」「75歳まで」「80歳まで」の比率が高くなるだろう。
収入源についての考え方も、この3年で変わったのではないか。調査では、老後の生計を支える手段として最も頼りにする収入源のトップは「公的年金」で58.2%。次いで「自分の就労による収入」が18.7%だった。
だが、いまでは70歳までの就労が標準になろうとしている。いまなら「自分の就労による収入」が「公的年金」と拮抗するかもしれない。生涯現役をテーマにすえた世論形成も進む気運にある。
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