2021/04/26
2021年3月新卒者に対する採用内定取消しが、2021年2月末時点の速報値で100人にのぼることが、厚生労働省の調査結果より明らかになった。産業別では、「卸売業、小売業」が62人と圧倒的に多く、6割を占めている。
採用内定取消しの事業所数・人数 厚生労働省が2月末時点として公表した速報値によると、入社予定だった企業等から採用内定が取り消された2021年3月新卒者は100人。内訳は、大学等91人、高校9人。このうち、14人はハローワークの支援等で他の事業所へ内定済み。
採用内定取消し事業者は14社。産業別では、「製造業」3社18人、「医療、福祉」3社11人、「卸売業、小売業」2社62人、「建設業」2社2人、「宿泊業、飲食サービス業」1社4人など。
また、入職時期繰下げは、3事業所において51人。内訳は、大学等45人、高校6人。産業別では、「運輸業、郵便業」2社45人、「建設業」1社6人。過去の新卒者内定取消し状況を見ると、リーマン・ショック後の2009年3月卒が2,143人にのぼったものの、2013年3月卒~2019年卒までは100人を下回っていた。
(リセマム 4月16日)
新卒者の採用内定取り消しは、新社会人の人生設計をスタート時に狂わせてしまう。希望を抱いて社会人への歩みを進める若者にとっては、それこそ堪ったものではない。
その責任の重さは各社とも痛感しているだろうが、内定を取り消す企業は、危急存亡の秋を迎えている。新卒者の人生設計への責任履行どころではない。守るべき雇用の優先順位では、既存の社員が最上位である。
内定取り消しの法的根拠には、整理解雇と同様に「人員削減の必要性」「整理解雇の必要性」「被解雇者選定の合理性」「手続きの妥当性」の4条件が求められるが、ここまで厳密に検討している企業はあまりないのではないか。整理解雇ですら4条件の検討は多くの企業で曖昧である。
まして新卒者が地位確認や逸失利益をめぐる訴訟を行うことなど、ほとんど想定できない。法的な妥当性はともかく、現実的ではない。ただ、内定を取り消された新卒者がおとなしく諦める現実を見越して、ビジネスライクに取り消すのは冷酷だ。血の通ったメッセージを贈ってほしい。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。