2021/04/21
「働き方innovation 多様性、生かせてますか」。今回は転職などで退職した人材を再び正社員として受け入れる企業を紹介している。富士通は転職や留学を含む退職者を再雇用する「カムバック制度」を2016年に始めた。日本企業は終身雇用から「出戻り」に否定的な見方があったが、人材の流動化で、他社での経験や専門性を自社に生かす考えに変わりつつある。働く人もキャリア形成の選択肢が広がる。
(中略)
総務・人事本部の黒川和真シニアマネージャーは「IT業界では人材獲得競争が激しい。再雇用者は社外で鍛えたスキルと社内に精通した実務力を持つ即戦力としての価値が高い」と説明する。
離職中に積んだ経験や習得したスキルは給与や職責に反映し、キャリアの断絶が起きないように工夫する。現在の出戻り組は約30人。今後はイノベーションや新規事業の創出につなげたい考えだ。
(日本経済新聞 4月13日)
オープンイノベーションがクローズアップされて久しいが、社外組織との連携には限界がある。第一級の人材との共同作業も、その人材の能力を自社にフル活用できるわけではない。
その点、転職して他社で一定以上の経験を積んだ元社員を再雇用すれば、いわば自前のオープンイノベーションを実施できる。自社の価値判断基準や組織の行動特性もわかっているので、想定外の反応に戸惑うこともないだろう。
一方、再雇用社員には“会社の常識は社会の非常識”という通弊を是正する役目に期待できる。たとえば総務・法務・人事などへの配置が考えられる。一般に独自の社内用語が浸透しているような企業は、自社と異質な価値観に対して拒絶反応を示しがちだが、そもそも企業活動の原理原則は共通している。だが「わが社は違う」と固執する風潮は根強い。
再雇用社員に唯我独尊への傾斜を是正してもらうのだが、それでも価値判断基準は企業の根幹に関わる領域だけに、聖域視して再考はタブー視されるかもしれない。
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