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三井住友海上、副部長・副支店長職を新設、女性社員170人を充てる

4月1日に就任した三井住友海上火災保険の船曳真一郎社長が読売新聞のインタビューに応じ、女性の管理職比率を高める方針を明らかにした。2022年春に副部長、副支店長職を新設し、初年度は一定の資格を持つ女性社員170人程度を充てる。船曳氏は「女性が活躍できる土俵を設け、その後の部長や役員への登用につなげていく」と強調した。
 三井住友海上では、女性の部長比率は約5%、課長は約20%にとどまっている。副支店長などの新設で、女性管理職の比率を高めていく。
 一方、自然災害の増加で、三井住友海上の火災保険事業は11年連続の赤字となる見通しだ。船曳氏は「保険の供給をいかに持続できるかが最大の課題」と述べ、保険料の値上げと並行して、代理店に払う手数料を見直すことも明らかにした。(読売新聞オンライン 4月2日)

 
 政府が目標に示した企業の女性管理職比率は「2020年代早期に30%」である。だが、この目標は達成されそうにない。日本経済新聞の「社長100人アンケート」によると、5年後の女性管理職比率の目標は14.4%だった。政府目標の半分に過ぎない。
 管理職比率の高めるうえでの課題でもっとも多かった理由は「登用すべき年齢層に女性社員が少ない」で、60%に達した。「登用すべき実力を有する女性社員が少ない」のならやむを得ないが、焦点になっているのは年齢だ。年功制人事の考え方が根強く定着していて、実力本位への転換はなかなか進みそうにない。
次に多かった理由は「性別による無意識の偏見」の50.7%だった。回答者の大半は男性社長だろうから、男性側も女性差別を払拭できていないことを認識している。
 三井住友海上で副部長・副支店長職に女性社員170人が就任すれば、先行的な事例になって、他社も動き出すことを期待できる。だた、産業界全体で見れば、女性管理職の登用には腰が重そうだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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