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看護師らがストライキ コロナ下、相次ぐ退職に危機感

大阪府高槻市の複数の民間医療機関などで8日、高槻医療福祉労働組合(組合員約360人)に所属する職員が待遇改善を求めてストライキを決行した。新型コロナウイルスの感染拡大で勤務環境が厳しくなっており、労組は「地域医療を守るために医療従事者を支える必要がある」と訴えた。
ストは富田町病院など3カ所であった。看護師、事務職員ら約20人は始業の午前8時半から約1時間の時限ストをし、労組役員ら7人は同日夕までストを続けた。富田町病院によると、診療に支障はなかった。  
同病院は69床。労組によると、経営難のため、2019年夏~20年冬の賞与は4回連続で0・8カ月分にとどめた。病院では昨年12月以降で看護師6人と介護職員1人が退職・退職予定だという。  
労組は、コロナ禍で労働環境が悪化しているのに待遇改善がなければさらに退職者が増える恐れがあるとしてストに踏み切った。  病院事務職で労組の村山裕子執行委員長は8日、「コロナ禍で病院は2億円以上の公的融資を受けている。なぜ現場の努力に少しでも報おうとしないのか。退職が止まらなければ病院が崩壊してしまう」と訴えた。  
富田町病院の運営法人の担当者は取材に「医療機器の修繕や退職金積み立てなどに多額の費用がかかる。業績が回復すれば支給額を上げていきたい」と話した。
(朝日新聞デジタル 3月9日)

高槻医療福祉労働組合がストライキを実施した翌9日、日本看護協会は、田村憲久厚生労働相に、新型コロナウイルス感染症に対応する看護職に関する要望書を提出した。偶然にもタイミングが一致したのだろうが、呼応するような行動である。
日看協は①医療従事者の処遇改善②保健師増員の実現③「地域の医療提供体制確保のための看護職員の派遣調整事業」の継続―の3点を要望した。
医療従事者の処遇改善については「看護職をはじめとする医療従事者の処遇改善がされるよう、医療機関等に対する経営支援の一層の充実を図られたい」と要望した。
保健師増員の実現については「新型コロナウイルス等の感染症に対応する900人の保健師の純増に向け、各自治体に積極的な採用の働きかけを行うとともに、採用活動等に必要な経費を支援されたい」と要望した。
地域の医療提供体制確保のための看護職員の派遣調整事業の継続については「地域の医療提供体制確保のための看護職員の派遣調整事業を継続されたい」と要望した。
 緊急事態宣言解除後のリバウンドを懸念する専門家もいるが、コロナ対策は長期戦になるようだ。改めて看護師への支援策の強化が問われている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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