2021/03/05
国家資格合格者や、大企業への新卒入社組など、一度レールに乗りさえすれば高年収が約束されていたはずの“勝ち組”たち。だが、そんな彼らも長引く不況や、新型コロナが追い打ちとなり、続々と高年収組から転落しているという。その崩壊の実体とは――?
かつて、日本の所得階層はきれいなピラミッドを描き、年齢に応じてある程度上の階層に上がれる仕組みだった。それが今では、大きく変わっていると、経済ジャーナリストの磯山友幸氏は言う。
「経済成長率が低い日本では、そもそも市場全体のパイが小さくなっています。当然、労働者の取り分も少なくなりますよね。全員の取り分が平等に減ったというよりは、年収800万円以上のポストが減り、椅子取りゲームに負けた人が転落しているのです」
“減った椅子”の最たるものが企業の管理職だろう。それには、産業構造の変化が背景にあるという。
「景気がよく、モノを作れば作るだけ売れた製造業が盛んな時代は、販売・製造などに携わる人々を監督する『管理職』が必要だった面もあります。ところが、モノを作っても売れない現在は、オペレーションをするための中間層は少数でよくなった。一方、経営に携わる、ごくわずかな人間が何千万、数億円と稼ぐようになっているのです」
その結果、大半の年収800万円以下の労働者層と一部の超富裕層で階層が二分されるようになったと磯山氏は解説する。
(bizSPA!フレッシュ 2月25日)
会社員で年収800万円以上を得ている層は、特定の業種に偏在している。国税庁が2020年9月に発表した「令和元年分(2019年)分民間給与実態統計調査」を見れば明らかである。
この調査によると、給与所得者は5,255万人(前年比 4.6%増)で、民間企業社員の平均給与は436万円(同1.0%減)。正規社員と非正規社員の格差は大きく、正規の平均給与503万円に対して、非正規の平均給与175万円だった。
業種別の年収を比較すると、多い順に、電気・ガス・熱供給・水道業824万円、金融業・保険業627万円、情報通信業599万円、学術研究 ・専門・技術サービス業教育・学習支援業518万円。もっとも少ないのが宿泊業・飲食サービス業で260万円だった。
同じ会社員でもこれだけの格差がある。富裕層に入れるかどうかは、おおかた勤務先で決まってしまうといってもよい。
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