2021/02/10
化学品や情報システム事業などを手がける商社の三谷産業(金沢市、東証1部)は2日、社員を無期限に継続雇用する新たな人事制度を4月から導入すると発表した。グループ会社を含めた国内の60歳以上の全社員が対象で、超高齢化社会を見据え、定年退職を事実上廃止する。上場企業では珍しい制度とみられ、注目を集めそうだ。
同社はこれまで、定年を迎える60歳で関連会社に転籍した後、嘱託社員として65歳まで継続雇用していた。新制度では関連会社へ転籍する形は継続しながら、65歳までは昇給のある正社員、66歳以降も1年更新の嘱託職員として継続して働けるようにする。退職金は60歳の転籍時と継続雇用の終了時の2度支給する。
金沢市内の本社で記者会見した三谷忠照社長は「社員一人一人の個性の組み合わせが社風そのもの。(定年で)『お疲れ様でした』と突き放すのではなく、60歳以降もこれまでと違った形で重要な役割を担ってもらいたい」と話した。
三谷産業は1928年創業で連結従業員数は3355人。
(毎日新聞 2月2日)
この4月1日に施行さえる改正高年齢者雇用安定法で、70歳までの雇用が努力義務となる。努力義務とは、近い将来の義務化のメッセージである。
2年前に発表された厚生労働省調査「高齢者の雇用状況」(対象・常時雇用する労働者が31人以上の企業16万1378社)を概観してみたい。
「65歳までの雇用確保措置のある企業」99.8% 、「65歳定年企業」17.2%(対前年1.1ポイント増)、「 66歳以上働ける制度のある企業」30.8%(対前年3.2ポイント増)、「70歳以上働ける制度のある企業」28.9%(対前年3.1ポイント増) 。「定年制廃止企業」2.7%(対前年0.1ポイント増)。
ここまで60歳以上の雇用が進み、定年制の廃止も進むと総人件費が膨らみ、若年世代の給与へのしわ寄せが生じかねない。同時に社員の平均年齢が上がれば、組織全体の活力が衰退することも懸念される。
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