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学生優位の就活、コロナで一変 元に戻るまで5年程度か

コロナ禍による学生の就職活動への悪影響が長期化しそうだ。旅行業や飲食業を中心に採用に慎重な企業が増え、1年前までの「売り手市場」は様変わりした。元の水準に戻るまで5年程度はかかるとの見方があり、学生は志望業種を広げるなどの対応を迫られている。
国の調査によると、この春に卒業予定の大学生の就職内定率(昨年12月1日時点)は82・2%と前年同期より4・9ポイント下がった。文系・理系別では文系が5・6ポイント減の81・3%で落ち込みが大きい。
この春に卒業予定の高校生を対象にした企業の求人数(昨年10月末時点)も、前年同期より20・7%少ない37万人だった。業種別では宿泊・飲食サービス業が45・9%減で最も大きく、生活関連サービス・娯楽業が33・4%減、製造業は26・1%減だった。
影響はいつまで続くのか。リクルートワークス研究所が昨年10~11月、企業に22年卒の大学生らの採用見通しを尋ねると、11年ぶりに「減る」が「増える」を上回った。「減る」が11・6%(前年同期7・6%)で、「増える」は7・7%(同11・5%)、「変わらない」は45・0%(同50・8%)だった。
(朝日新聞デジタル 2月1日)

昨年12月15日に閣議決定した「全世代型社会保障改革案」に就職氷河期世代の雇用対策は盛り込まれなかったが、この世代は社会保障制度を支えるプレーヤーとして大きなウエイトを占めている。
この世代は1975~1986年生まれと区分され、今年35~46歳になる。勤め人の場合、最も活躍できる年代だが、この年代まで非正規雇用で過ごしてしまうと、スキルの蓄積や組織管理の要諦を修得する機会に恵まれない。数年前から正規雇用に転換させる流れもあったが、コロナ禍で中断した。
この世代のジュニア世代が、いまちょうど新卒採用の年齢にさしかかっている。就職氷河期世代と併せて2代にわたる非正規雇用の増大は、社会保障の観点から深刻な課題だ。第二新卒枠が設定されても、雇用情勢を好転させる原動力にはなり得ない。
まして30代後半に達すれば、就職先の選択肢は一気に狭まってしまう。雇用調整助成金の延長で失業者の発生は抑制できているが、新卒採用への補助政策も必須だ。雇用形態がメンバーシップ型であれジョブ型であれ、20代でのキャリア形成は30代以降を決定づけるのである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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