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企業の3割が70歳以上雇用 人手不足影響、厚労省

厚生労働省が8日発表した2020年の高齢者の雇用状況調査によると、定年の廃止や継続雇用などにより70歳以上が働くことができる制度のある企業は31.5%で、前年から2.6ポイント増えた。人手不足が深刻化したことが影響したとみられる。働く意欲がある高齢者も増えている。
70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする「改正高年齢者雇用安定法」は4月に施行される。
従業員31人以上の16万4151社の雇用状況の回答をまとめた。70歳以上が働く制度のある企業数は5万1633と、前年から4975増えた。中小企業で4万7172社、大企業は4461社だった。
(共同通信 1月8日)

介護事業所で高齢者雇用が進んでいる。介護労働安定センターが実施した「「平成 30年度介護労働実態調査」によると、全介護労働者に占める 60 代の割合は 17.0%、70 代以上は 4.6%で、合わせて全体の 2 割を超えた。介護事業所で働く労働者のうち、約 5 人に 1 人は高齢者である。
入職経路は異業種からのセカンドキャリア型が多い。同ンセンターの「介護事業所における高年齢者等の雇用に関する実態調査」によると、男性の場合、セカンドキャリア型が 18.3%で、定年延長型や介護転職型よりも多い。
セカンドキャリア型の高年齢者が現在の法人に就職した理由は、男性では 「人や社会の役に立ちたいから」「通勤が便利だから」「働きがいのある仕事だと思ったから」が多い女性では「資格、技能が活かせるから」「通勤が便利だから」「働きがいのある仕事だと思ったから」が多い。
一方、介護事業所が高齢者を雇用する利点は3点である。①人員配置基準に算定可能な職員の確保につながる②高年齢者を採用することで、人生経験や社会経験が豊富で、組織の中で働くことに対する理解やマナー等を身に付けている人材を確保できる③体力面での不安がある高齢者等に配慮した短時間勤務制度を、ワーク・ライ フ・バランスを重視する他世代も活用できるようにすることで、様々な世代の職員の定着率の向上につながる――が挙げられた。
ただ、高齢者雇用には課題もある。同調査では「体力や視力・聴力、判断力や認知機能の低下」「自身の価値観や考え方、仕事のやり方を大 きく変えることに対する反発・拒絶対応」が指摘された。いずれも老化現象である。若年世代に忌避されやすい特性だが、補って余りある利点があると判断する事業所が増えている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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