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「年収3割増」日本電産が打ち出す…待遇改善で人材確保

日本電産の関潤社長は22日、読売新聞のインタビューに応じ、2023年までに従業員の年収を平均3割増やす方針を明らかにした。世界的に「脱炭素」の機運が高まり、電気自動車用モーターを中心に需要増が見込まれるためで、待遇改善で優秀な人材を確保する狙いがある。
関氏は、売上高を伸ばしながらデジタル化などで業務の効率を高める考えを示し、「生産性が向上する分、年収を上げる」と述べた。日本電産の19年度の従業員数(単体)は2756人で、平均年収は約620万円だ。3割増えると、単純計算で800万円程度に引き上げられることになる。
関氏は企業の合併・買収(M&A)を積極的に進める意向を示し、候補企業について「20社程度ある」と明かした。自動車メーカーとの協業も広げる方針で、関氏は「将来的に自前でモーターを作る自動車メーカーはなくなる」と話した。
(読売新聞オンライン 12月23日)

東京商工リサーチの「上場企業1803社の平均年間給与」調査(2020年3月期決算)によると、上場企業の平均年収は630万5000円。業種別の最高は、4年連続で建設業の756万1000円。2位は不動産業749万6000円、3位電気・ガス業689万円で、最低は小売業の494万7000円だった。
これらの額に比べると、日本電産の平均年収である約620万円は高くもなく低くもない。公務員の年収と比べると、むしろ低い。
東京都千代田区職員(一般行政職の場合)の2019年度平均年収は680万2351円だった。役職別では、部長が1227万3892円、課長が1048万8929円、係長が834万2974円、主任が614万9712万円、係員が518万9513円だった。
千代田区職員と比べても、日本電産が平均年収を800万円に引き上げたところで、格別の高給とはいえないが、上場企業のなかで高水準に移行する。外資系企業と比べてどうなのかという評価もあるだろうが、平均年収が800万円に届けば、その額が高いか低いかよりも、雇用が安泰かどうかのほうが重要だ。
雇用が安泰で、この年収水準なら、社員は意欲的に働けるだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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