2020/11/16
70歳までの就業確保を企業の努力義務とする改正高年齢者雇用安定法が、来春施行される。企業は個々のシニア社員の専門能力などを精査し、選別雇用を始めている。管理職を務めたシニア社員であっても、意識を変えて第一線の現場で成果を出すことが求められる。先行事例を追った。
(中略)
改正高齢法は65歳まで雇用することを義務付けた現行法に、70歳までの就業確保を努力義務とすることを加えたものだ。改正法を伴う、定年廃止などの就業確保措置のうち、最も定着しそうなのは継続雇用だ。どんな内容の労働契約を用意するかは労使間で決める。
改正法施行を前に退職者の能力を見極め、複数用意した処遇を当てはめ継続雇用する例が出始めている。
4月に定年を65歳に引き上げた明電舎の場合、エルダー社員になれば75歳までの契約更新が可能。基本的に会社の選択で決まる。
(日本経済新聞 11月6日)
内閣府「高齢者の日常生活に関する意識調査」(2014年)で「何歳まで働きたいか」という項目がある。の調査対象は全国60歳以上の男女で仕事をしている1356人。結果は多い順に「働けるうちはいつまでも」(42.0%)、「70歳くらいまで」(21.9%)、「65歳くらいまで」(13.5%)、「75歳くらいまで」(11.4%)、「80歳くらいまで」(4.4%)だった。
年齢別の就業状況はどうなっているのだろうか。
「高齢者白書」によると、2018年に男性就業者の割合は、60~64歳が81.1%、65~69歳が57.2%、70~74歳が38.1%。女性は、60~64歳が56.8%、65~69歳が36.6%、70~74歳が23.1%。65歳を境に就業率は一段と低下するが、2割が70歳までの就業意欲をもっている。
70歳までなら就業意欲を喚起すれば、就業者数を拡大できる。 改正高齢法に70歳までの就業確保を努力義務にすることを加える措置は、遠からず「義務」に転化する。これは政策に織り込み済みのシナリオだろう。
コロナ禍で連日のように大手企業の希望退職募集のニュースがつづいている。どこも数百人単位の募集で、労働市場は買い手市場に変化しそうにも見えるが、中長期のトレンドは人手不足だ。背景は少子高齢化で、これだけはコントロールできない。
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