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パナソニック、日立、一般社員の年功序列を廃止

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パナソニックの津賀一宏社長は22日、年功序列的な要素が強い一般社員(係長級以下)の賃金体系について、来年4月から見直す方向で労働組合と協議していることを明らかにした。「育成段階」にあるため、経験を加味した「積み上げ型」の部分を一定程度残し、賃金カーブもあまり変わらないが、仕事の役割をより重視した制度に切り替える方針だ。同日開かれた政労使会議で説明した。
同社は今月から、管理職(課長級以上)を対象に、年功序列的な要素を廃し、役割に応じて賃金が上下する制度を導入している。役割の大きさや業績への貢献度を賃金に明確に連動させることで「チャレンジ意欲を喚起する」(津賀社長)のが狙いだ。こうした要素を取り入れた新制度を一般社員にも拡充。子育て世代の処遇改善につながるよう、制度設計する。
(中略)
日産自動車は04年から、一般社員の年功序列を廃止。年齢給や資格手当などはなく、上司らの評価で決まる等級により賃金が決まる。ソニーも来年度から、全社員を対象に、年齢に関係なく、担当の仕事の内容で賃金が決まる制度の導入を検討中だ。大企業を中心に、賃金制度を見直す動きが広まる可能性がある。(毎日新聞 10月22日)

年功序列の廃止は名目が何であれ、要は人件費の抑制が目的である。安倍晋三首相が年功序列の廃止を言い出したのは本人の見解なのか、それとも、経団連など大手企業側が政府に代弁させているのか。いずれにしても、来年度から年功序列の廃止が一気に進みそうな気配だ。

その功罪はいろいろある。年功序列から能力主義への転換と言えば聞こえは良いが、問題は社内競争が勃発することだ。これは、社員同士の切磋琢磨という健全な現象ではない。

まさしく数字を競い合う人参レースで、社員は弱肉強食に色分けされ、活力が増強されたように見えながらも、一方で組織は劣化しかねない。人参レースは消耗戦である。心身に疾患を抱える社員が増え、ハラスメント行為も頻発するのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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