2020/08/06
政府は国家公務員の人事評価制度について、能力や実績をより反映できる仕組みに変更する。有識者会議を設けて従来の5段階評価をさらに細分化する案などを検討する。2021年夏からの改正を目指す。
内閣人事局が「人事評価の改善に向けた有識者検討会」を新設し、29日に初会合を開く。企業の人事評価に詳しい学習院大の守島基博教授ら7人で構成し、月1回の頻度で議論する。
2009年に始まった現行の人事制度は上からS、A~Dの5段階に絶対評価で評価する。総務省が13年に実施した調査では一般職員は5割超がA、4割弱がBだった、CやDは1%未満で評価の差があまりついていなかった。政府は「Aプラス」などの区分を新設し、より細分化した評価制度に変える方向で検討する。有識者会議の主要議題には「よりきめ細かく隔たりのない評価をするための区分の細分化」との項目を盛り込む。
(日本経済新聞 7月29日)
国家公務員の人事評価で気になるのは評価基準である。省益と国益のどちらが優先されるのか。予算執行の成果よりも予算確保が優先して評価されるのか。降格人事はあるのか。幹部の評価に官邸や政権与党の意向が反映されるのか――等々。
厚生労働省の若手職員チームは、加藤勝信厚労相に「30代で課長職、40代で局長職となれるようにすべきだ」と提言したが、各省庁で独自に評価制度を設計してもよい。内閣人事局の“部局益”には反するが、現場の実情を反映させないと実効性の高い制度にならない。
ただ、どのような評価制度に仕上げても、それが人事に適正に反映されるとは限らない。およそ公明正大な人事は夢想に近く、人事には評価とは別に組織内の力学が働く。いわば人事は思惑の産物である。運にも左右される。だからメディアのネタになるのだ。
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