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希望退職、企業が加速 上半期で41社、正社員にも拡大

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企業の人減らしが加速している。社員の希望退職を募った上場企業は、東京商工リサーチによると今年上半期(1~6月)だけで41社あり、昨年1年間を上回った。リーマン・ショックの影響が残る2010年上半期以来10年ぶりの高水準となった。7月は少なくとも4社が公表していて、今後も増えそうだ。
新型コロナウイルスの影響が、非正社員だけでなく正社員の雇用にも広がっていることを示している。  
人を減らす動きは、コロナ禍が表面化する前の昨年からめだち始めていた。将来を見据え収益力を高めようと、給与が高めの中高年らを削減しようとするところがあった。東京商工リサーチによると昨年に希望退職を募った企業は前年の3倍近い35社で、募集人数の合計は1万人を超えた。     
今年に入ってコロナショックが重なり、希望退職の募集は急増している。今年上半期は10年上半期の66社に次ぐ水準で、募集人数も判明分だけで7千人を超えた。主な集計の対象は4千社近くある上場企業で、公表していないところや非上場の中小企業などを含めれば、実際はもっと多いとみられる。
(朝日新聞デジタル 7月27日)

コンサルティング会社で事務職の正社員として勤務する40代の女性が、転職を考えて人材紹介会社に相談に訪問したら、求人例をいくつか示され、転職すれば給与が大幅に下がることを教えられたという。

この女性は「嫌なことがあっても、割り切って務めつづけたほうがよいと決めました。それと同時に、改めて会社とは理不尽の塊であると考え直しました」と話す。

さる7月31日、厚生労働省は6月の有効求人倍率(季節調整値)を発表したが、前月の1.20倍から0.09ポイント落ち込んで1.11倍となった。6カ月連続で下落した。しかも2014年10月以来5年8カ月ぶりの低水準に陥った。

新型コロナの第2波が襲来し、景気回復の目途が立たなくなった。雇用情勢はさらに悪化し、年末にかけて希望退職者は増えるだろうが、再就職はイバラの道だ。現職にしがみつけるなら、しがみついたほうがよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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