2020/08/04
家電量販店大手のノジマは、全社員を対象に80歳まで働ける制度を導入した。店舗での販売経験が豊富なベテラン社員らのノウハウを活用すると同時に、若手の育成にもつなげる狙いがある。大手企業で80歳まで雇用期間を延ばすのは珍しい試みだ。
社内規定を7月1日付で改定した。ノジマの定年は65歳だが、その後も1年契約の臨時従業員として雇用する。勤務形態や給与は個別に話し合って決める。ノジマは店舗の販売員を、メーカーからの派遣に頼らず、自社で賄っていることを強みとしている。
(読売新聞オンライン 7月26日)
ノジマは同社固有の考えで80歳まで働ける人事制度を設けたのだろうが、人生100年時代を訴えて公的年金の支給開始年齢を引き上げたい政府にとっては、いかにも朗報である。後につづく企業が増えれば流れが形成され、支給開始年齢を引き上げる土壌ができあがる。
公的年金の支給開始年齢は65歳だが、以前は60歳で、支給開始年齢に定年退職するのが社会全体の仕組みだった。つまり以前は60歳、いまは65歳まで働いて、年金財源の担い手になるという前提で社会保障制度が設計されていた。
ところが、少子高齢化の進行で年金財源がひっ迫しているので、この前提となる年齢を引き上げ、年金財源の担い手となる時期の延長に着手せざるをなくなった。雇用年齢を平均寿命まで引き上げれば、少子高齢化問題は解消される。
働く身にはどうだろうか。生涯現役を志向する人にとっては、80歳まで雇用される職場は大歓迎だろう。張り合いもあるし、老後が発生しない人生を送れる。その一方で(一生働きつづけるのか)という疑問も湧いてくるが、どちらがよいのか。こればかりは正解がない。
ただ、現役にしがみつくという姿は、若い人の目に見苦しく映るだろうから回避したいものだ。
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