トヨタ自動車は入社15年超の課長級社員を社長や副社長などの秘書役として4カ月間登用する「トップ密着型」の研修を始めた。海外出張を含めた業務に同行し、経営幹部の仕事のやり方や考え方を学ぶ。中堅から会社の経営を意識させるのが狙いだ。
トヨタは管理職を3段階に分けている。今回の研修はこのうち、最も若手が属している「基幹職3級」(約7000人)の社員が対象だ。
入社15~17年の中堅を中心に、仕事の成果やリーダーシップ力などを踏まえて10月から配属を始めた。豊田章男社長のほか会長や副社長の秘書になり日々の行動をともにする、(日本経済新聞 10月1日)
社員教育の手法はさまざまだが、百万語のノウハウを座学するよりも、優れた役員や社員の仕事を観察させたほうがスキルの習得は早い。リアルに理解できるからだ。(門前の小僧習わぬ経を読む)の教えは不変である。
しかし、この密着手法にも問題がないわけではない。トヨタ自動車ともなれば、中堅社員にとって手本になる上級職がキラ星のごとく在籍しているが、中小・ベンチャー企業では、社長がスーパースターで、それ以下は凡人という場合があるのだ。
だいぶ前になるが、ある営業コンサルティング会社はクライアント企業に対して(トップ営業マンの業務手法を標準化して全員に浸透させれば、営業部門が劇的に強化される)と提案していた。
このコンサルティング会社の社長に「するとトップ営業マンの能力次第で、それ以上の営業力はなかなかつきませんね。トップ営業マンが業界でもトップクラスの実力を持っていればまだしも、そうでない場合が普通でしょう」。そう感想を話したら「まあ、そうかもしれません」。
人材格差がなかなか解消されない所以だ。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。