2020/07/17
政府と大手銀行5グループは新型コロナウイルス禍で経営環境の悪化に苦しむ中小企業を対象に、年内にも人材支援に乗り出す。銀行が持つ経営や財務の専門人材をリスト化し、地方企業に派遣する。リストは数百人規模を目指す。官民ファンドが仲介する融資や出資に加え、人材も派遣することで、事業再生や承継といった課題解決を後押しする。
菅義偉官房長官が検討を指示し、政府が17日に決める経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)に新制度を盛り込む。
地方の中小企業は新型コロナ禍で売り上げが急減するなど苦境が続いている。東京商工リサーチによると2月以降の新型コロナ関連の経営破綻(負債1000万円以上)は計240件に上る。6月は単月で最多の94件に増え、飲食業や宿泊業など資金力の乏しい中小企業を中心に影響が広がっている。
(中略)
取引先に出向したり、副業を利用して週末だけ働いたりするなど、多様な雇用形態を検討する。例えば経験を積んだ50代以降の人材が地方に活躍の場を求めて転職・再就職するケースなども想定する。
(日本経済新聞 7月9日)
この仕組みは、大手銀行5グループの余剰人員活用策に見えないこともないが、受け入れる地方企業とマッチすればよれでよい。
ある中堅介護事業会社の社長は次期社長候補に銀行出身者を起用する方針を固めている。まったくの門外漢に務まるのだろうか。この疑問をぶつけたら、社長はこう説明してくれた。
「施設の運営やスタッフ管理は施設長に任せればよいのです。社長に求められるのは介護事業の知見ではなく、経営数字に強いかどうか。経営数字に強い職業は銀行員なので、銀行出身者を次期社長に据えるのが一番の安全策です」
ただ、銀行出身で中堅・中小企業に転職した場合、オーナー社長とソリが合うかどうかで明暗が分かれてしまう。合えば活躍できるが、たとえ三顧の礼で迎えられても、合わなければ数年以内に退職に追い込まれてしまう。
銀行から事業会社への転職には、そのリスクが潜んでいる。
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