2020/06/16
企業などの不正を内部告発した人への保護を拡充した改正公益通報者保護法が8日、参院本会議で可決、成立した。事業者に内部通報の体制整備を義務付け、違反すると行政指導などの対象となる。2004年の同法制定以来、改正は初めて。
改正法では、従業員300人超の事業者に通報窓口設置などを義務付け、300人以下の事業者は努力義務とする。内部調査の担当者が通報者を特定できる情報を漏えいすると、刑事罰が科される。役員や1年以内の退職者も保護されるようになり、通報に伴う損害賠償責任も免除される。
(時事通信 6月8日)
内部通報を行なうには、よほど脇を固めないと定期人事異動の名目で左遷を強いられるのが現状だ。たとえ通報内容が真実でも、組織には不都合な真実を隠蔽しておきたいという防衛本能がある。この本能を刺激することは背信行為とみなされる。
たとえば役員や幹部社員の個人に関わる不正の通報なら受け入れられ、適正に処理されても、組織の根幹に関わる不正となると扱いが違ってくる。根幹に関わる不正はタブー視され、通報すれば人事上の不利益をちらつかせて、口封じを図ろうとするのが大方である。
この体質が改まらない限り、改正公益通報者保護法には限界がある。通報者に人事上の不利益を与えた場合の罰則規定も盛り込まないと、実効性を発揮しない。組織の防衛本能はそう簡単に突き崩せない。
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