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モス桜田会長、代表権外れる

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モスフードサービスは30日、桜田厚会長(68)が代表権を外れると発表した。6月下旬の株主総会後、任期満了に伴い代表取締役を退任する。会長としての職務は続けるという。代表取締役は中村栄輔社長1人となる。桜田厚氏は同社の創業者の故・桜田慧氏のおい。桜田慧氏の急逝で起きた経営の混乱後、1998年に社長に昇格した。「モスバーガー」のブランドイメージ向上や海外展開を主導し、16年からは会長専任となっていた。
(日本経済新聞 4月30日)

5年前にさかのぼるが、桜田厚氏をインタビューした。フランチャイズ(FC)加盟店募集方針を尋ねたのだが、示唆に富んだ話を聞いた。

モスフードサービスのホームページに掲載された加盟店募集ページには<私たちは、事前の話し合いに十分な時間をいただいています。お互いの価値観や、大切にしていることを確認させていただくことが目的です>と書かれてある。
加盟希望者には既存のFC店を訪問して経験談をヒヤリングしてもらい、モスバーガーの店舗運営への思いや人生設計などについてレポートを提出させる。そのうえで、地区担当マネージャー、本部の担当部長などの面接を経て、最終面接は桜田氏が行っていた。

桜田氏は加盟希望者に対して、ひとつのことを見ていると話した。話の内容はおおむね以下の趣旨だった。
「私心があるかどうか。本部と加盟店オーナーとの間に信頼関係が築かれないと、健全なFC運営はできないが、私心を持ったオーナーだと信頼関係を損ねかねない」
ビジネスにおける信頼関係は、もろく、はかない――。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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