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厚労省、女性登用を法律で義務付けへ

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厚生労働省は女性の登用に向けた計画を開示するよう企業に法律で義務付ける方針だ。新人や管理職に占める女性比率の目標などを期限つきで示してもらうことを想定する。外部に公表することで企業の意識を高めてもらうとともに、職を探す人が企業を選ぶ情報として使えるようにする。
24日の労働政策審議会の分科会で、労使代表の委員が大筋で一致した。30日の分科会で具体的な開示項目や施行時期、猶予措置など含めた制度案を詰める。今秋の臨時国会に提出する女性登用を促す法案に盛り込む。
この日の分科会では、労働者側の委員から「女性の登用を進めるなら目標の開示を義務化すべきだ」との意見が相次いだ。ただ経営者側は「中小企業がすぐに対応することは難しい」として、従業員数300人以下の企業への適用を猶予するよう求めた。
政府は人口が減っても労働力の目減りを抑えるため、成長戦略に「2020年に指導的地位を占める女性を30%にする」との目標を盛り込んだ。(日本経済新聞 9月25日)

政府が女性管理職の登用を打ち出しても「まだ人材が育っていない」と返されれば、育つのを待つしかないが、それでは政府の指導力を発揮できない。そこで法制化へと踏み切ったのだろうが、法制化されれば、管理職候補者の絶対数が少ない中小企業では対応できないだろう。

この窮状をビジネスチャンスととらえる人材紹介やコンサルティング会社は多いはずだ。女性管理職紹介や女性管理職育成プログラムなどが続々と提供され、サービス利用の営業を受けた企業は、法制化された以上、予算を割かざるをえない。

さらに、大手企業勤務から中小企業の管理職へと転職する女性も増えるのではないか。法制化からは、そんな絵図が見えてくる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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