日立製作所は26日、国内管理職の約1万1000人を対象に世界共通の基準に沿った賃金制度を10月から導入すると発表した。月例賃金は職務や職責の重さ、賞与は個人業績の目標達成度で決め、年功的な要素は廃止する。重電の世界再編が加速するなか、人材面の国際競争力の向上が狙い。2011年度に着手した世界共通の人事制度の構築がこれで整う。
新賃金制度は職務や個人業績の評価を反映させる仕組みを全面的に導入する。従来は報酬の約7割が過去の実績をベースとする職能給、残る3割がポストに応じた職位給だった。
日立は米ゼネラル・エレクトリックや独シーメンスに対抗し優秀な人材を育成・獲得するため、12年度にグループ会社約950社の約25万人の人事情報データベースを構築した。13年度に課長級以上の5万ポストについて職務や職責の大きさを示す格付けを共通化するグローバル・グレード制度を導入。海外ではそれに応じた賃金制度を順次採り入れており、国内にも適用する。(日本経済新聞9月26日)
日本企業は、人事の面では長らく日本の本社と海外法人とを全く別の企業として扱ってきた。日本本社の役員を始めとする幹部社員は日本人で独占し、外国人は海外法人のトップにはなれても、日本本社の幹部になることは難しかった。このため、昇進を望む優秀な外国人は日系企業への就職を敬遠する傾向もあった。
それが、次第に海外法人間で人事交流が行われるようになり、そして今、日本本社も含めてグローバルに最適な人材の配置を考えるようになってきた。そのためには、人事制度をグローバルに共通化する必要がある。今回の日立のグローバル・グレード制度はその流れに沿ったものであり、多くの日本企業で今後取り入れられるだろう。
今まで、多くの日本企業では、生産拠点や開発拠点、あるいは、財務などの経営リソースのグローバル化は進んだものの、人材というリソースのグローバルな最適配置は限定的だった。それが人も含めた最適配置に踏み込んだことで、今後は組織の最適配置も進むことになる。事業によっては、本社機構を海外に移転するケースも増えてくるだろう。
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