2020/01/28
大企業の残業に罰則付き上限が導入された2019年4月以降も月80時間超の残業をしている人が推計で約300万人に上ることが総務省の調査で分かった。労務管理の徹底でサービス残業があぶり出され、部下の仕事量が減ったしわ寄せで管理職の残業が高止まりしている。今後は画一的に残業を減らすのではなく、生産性の向上で収益を高め、働き手にも還元していく改革が重要になりそうだ。
働き方改革関連法によって大企業は昨年4月から従業員の時間外労働を年720時間以内にすることが義務づけられた。月100時間を超えてはならず、2~6カ月平均で月80時間以内にしなければならない。建設業など一部業種を除き、違反があれば30万円以下の懲役を科せられる。同様の黄瀬は今年4月から中小企業にも適用される。
だが統計上は多くの企業がこのルールに「違反」した状態にある。(中略)総務省の調査によると、19年4~11月に月241時間以上働いた雇用者(役員を除く)は月平均で約295万人もいた。
(日本経済新聞 1月20日)
書類作成と会議、このふたつをどれだけ削減できるかで労働時間は大きく変わるが、長年の慣行を変えるのは容易でない。読まれない資料の作成は作成者の労働時間を不当に奪うことを、その上司は認識しているだろうか。
会議には、たとえば社長が出席する会議の前に、社長対策会議を開いて想定問答を討議する例もあるというが、屋上屋を重ねるようなものだ。
だが、書類作成と会議のムダを省いてもなお労働時間を削減できず、業務の組み立てを改善して生産性を高めても限界がある――これが、この記事にあるように管理職に業務過多を強いる結果になっているのだろう。
取引先と協議しながら納期の調整などをして労働時間削減に着手すればよいという意見もあるが、売り上げを失いたくないから、そう単純に踏み切れない。この実態を毎日見ている若い社員が管理職への昇進を望まなくなったのもやむをない。
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