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月100時間残業 活力奪う

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中央省庁は長時間勤務やハラスメントなどで現場の疲弊が目立ってきた。難関の国家公務員試験をくぐり抜けた先に待つ旧態依然とした働き方をみて、やる気をなくす若手も少なくない。人材という行政資源の浪費は日本の活力をそぎかねない。民間の働き方改革に逆行するようにも映る霞が関の「非常識」を点描する。

10月25日早朝の経済産業省。多くの職員が定時より3時間以上も早い午前6時ごろから出勤し、国会に備えて待機していた。この日は秘書が地元の選挙区で香典や物品を配ったと報じられた菅原一秀経産相(当時)が、国会審議で自らの疑惑を説明する予定だった。

(中略)

一人ひとりが効率的に働き、生産性を高めることで人手不足や長時間労働を解消する働き方改革が進む。霞が関はその旗振り役でもあるはずだが、実態は非常識ともいえる長時間労働が残る。(日本経済新聞 12月27日)

厚生労働省で開かれる審議会には、傍聴者が座席の確保を目的に早朝から訪れる例がある。開催時間は午前9時だが、6時過ぎには、傍聴者が参集する。24時間空いている通用口から入っていくのだ。

昨年12月、この会議を傍聴するために7時前に庁舎に着いたら、電灯の点いたフロアが目についた。徹夜で業務をこなしているのだろう。職員が不夜城とか強制労働省などと自嘲する現状が見て取れた。

中堅職員に「電灯が点いていたのはどの部局ですか?」と尋ねたら、該当部局を教えてくれたうえで「でも、徹夜で仕事をしていたのは、その部局だけとは限りませんよ」という。

この職員は説明をつづけてくれた。

「徹夜で働いていても、少しは寝ます。皆、自分の机に顔を伏せたり、椅子に寄りかかったりして寝ていますが、私の場合、電灯が点いていると寝られないので、寝るときにはいったん消灯します。だから、電灯が点いていないフロアでも、仕事の合間に職員が寝ているかもしれませんね」

働き方改革では対応できないほど業務量が過剰なのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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