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2020年「正社員の年収激減」の恐怖 賃下げの意外なターゲット

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2020年以降、正社員サラリーマンの懐がかなり厳しくなりそうだ。同一労働同一賃金の導入で各種手当が削減される可能性が高まっていることに加え、年収850万円以上の人については実質増税となる。生活の切り詰めには限界があるので、副業など収入の複線化がますます重要となるだろう。

来年から年収が減少する正社員サラリーマンが増加すると予想されるのは、18年6月に成立した働き方改革関連法が20年4月から本格的に施行されるからである。働き方改革関連法には、残業規制や同一労働同一賃金といった内容が盛り込まれていたが、企業活動への影響が大きいことから猶予期間が設けられていた。

残業規制については大企業が19年4月から対象となっており、すでに残業代が激減した人が続出しているが、20年4月からはいよいよ中小企業も規制の対象になる。中小企業の社員で、残業代込みで年収を維持していた人は、生活が苦しくなるかもしれない。(ITmediaビジネスONLINE 12月19日)

働き方改革の推進にともなって(手取りが減るから残業規制をしてほしくない)と不満を漏らす会社員が少なくないと聞くが、これは本人の認識に問題がある。残業手当を生活給に組み込む感覚が染みついてしまったのだ。

残業時間の理想はゼロである。だから残業手当はあくまで余禄として計算すべきで、毎月一定額をもらえるものと思い込んでいるうちに、生活給に組み込むことへの疑問すら消え去ってしまったのだろう。

これは残業手当だけの問題ではない。賞与もアテにしないほうがよい。業績が悪化して賞与が大幅に削られ、住宅ローン返済原資のアテが外れてしまうような例は多い。

基本給を極端に低く設定して、複数の手当を積み重ねて業界平均額とのバランスをとるような歪な給与体系でない限り、生活給の原資は、あくまで基本給だけにしておいたほうが現実的である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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