2019/12/12
広告大手、電通の東京本社(東京都港区)が、労働基準法と労働安全衛生法に違反したとして三田労働基準監督署(東京)から今年9月に是正勧告を受けていたことが分かった。社員の違法残業や、残業時間の上限を定める労使協定(36〈サブロク〉協定)の違法な延長などを指摘された。法人としての電通は、違法残業を防ぐ措置を怠った労基法違反の罪で2017年に有罪判決が確定したが、その後もずさんな労務管理が続いていたことになる。
関係者によると、是正勧告は9月4日付。労基法違反が2件、安衛法違反が1件で、いずれも、残業時間に罰則付きの上限規制を初めて設けた改正労基法が施行される前の18年中の法令違反が対象だった。
電通は18年、残業時間の上限を原則として月45時間、事前申請すれば月75時間に延長できる36協定を労働組合と結んだが、上限を超す違法残業を社員にさせたケースが4回あった。いずれも営業関連の部署で、最長で上限の2倍以上にあたる月156時間54分の残業をさせていた。
(朝日新聞デジタル 12月5日)
電通の女性社員が自殺した一件が、働き方改革の引き金になった。改革の流れは診療報酬改定にまでおよんでいる。
来年4月の診療報酬改定の焦点は、医療従事者の働き方改革に伴うコストをどう評価するかにある。診療報酬を決定する中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)でも、働き方改革のコストを反映させて、改定率をプラスにするか、マイナスにするかが議論されている。
年内に改定率が発表されるが、プラスになれば患者の自己負担額が増え、消費増税と併せて国民生活はさらに逼迫しかねない。
働き方改革の波紋はそこまでおよんでいるのだが、その原点となった電通は働き方改革の手本になってもよいはずだが、違法残業が再燃した。社内制度を変えても文化まで変えることはできなかったのだろうか。
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