2019/12/06
味の素は28日、50歳以上の管理職を対象に100人の希望退職者を募ると発表した。募集期間は来年1月6日から3月13日までの予定。約800人が対象で、退職予定日は来年6月末。
特別加算金を上乗せした退職金を支給し、再就職も支援する。募集人数を超えても受け付ける。
同社では管理職を対象とした早期退職制度はこれまでもあったが、募集期間を限定して行うのは初めて。募集の理由について「事業環境の激しい変化のなかを勝ち抜いていくため、黒字である今だからこそ構造改革を進めていく必要がある」(広報)としている。
味の素は今月6日、2020年3月期通期(国際会計基準)の業績予想を下方修正した。売上高は従来予想より325億円減の1兆1385億円、純利益は同320億円減の180億円の見込み。(朝日新聞デジタル 11月27日)
味の素に人員削減の必要性は発生していない。人員削減は法的には簡単にできない。
厚生労働省のホームページによると「人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいている」状況で実施する解雇区分が整理解雇である。整理解雇には①人員削減の必要性②解雇回避の努力 ③人選の合理性 ④解雇手続の妥当性―の4つが要件となる。
味の素が発表したのは希望退職である。だが「希望」という言葉が付くものの、多くの企業が実施する希望退職は、退職を希望していない社員にも「辞めてほしい」と促す退職勧奨に等しい。
退職勧奨について、厚労省は「労働者が自由意思により、退職勧奨に応じる場合は問題となりませんが、使用者による労働者の自由な意思決定を妨げる退職勧奨は、違法な権利侵害に当たるとされる場合があります」と注意を喚起している。
対象社員が退職を拒めば閑職に追いやるのが企業の常道だ。その現実を見透かして「希望」して退職しても、次の仕事がすぐに見つかればよいが、味の素の場合、対象は50歳以上の管理職である。
人手不足の時代とはいえ、この年齢では、よほど妥協しないと次の仕事は見つからないのではないか。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。