2019/10/24
バブル経済崩壊後に高校や大学を卒業した30代半ばから40代半ばの「就職氷河期世代」を正規で雇用する動きが広がっている。物流やプラント保全を手掛ける山九は9月、就職氷河期世代に絞った中途採用を始めた。深刻化する採用難や人手不足が背景にあるが、求める人材を即戦力として確保できるのかなど課題もある。自らも氷河期を体験した中村公大社長に聞いた。
――民間企業の中ではいち早く就職氷河期世代の採用を始めました。
「従来の採用活動では人手を確保できなくなっている。19年春の新卒採用の充足率は7割どまり。大卒だけでなく高卒も採用が難しい。物流やプラント保全の現場の人手不足は深刻で、同業他社と限られたパイを奪い合う状況が続く。日本的慣行にとらわれない採用活動をしなければ生き残れないという危機感がある」
「社内に生じた世代の谷間を埋める狙いもある。30代半ば~40代半ばの社員は他の世代と比べて約1割少ない。管理職は人材が不足し、長期的に見れば経営上のリスクにある」(日本経済新聞 10月16日)
だいぶ前から50代の社員が40代以下の社員に“お荷物世代”と厄介ものに扱われているが、わからないでもない。
50代はもはや革新的なスキルアップを期待できる年代ではなく、昇進昇格とは縁の薄い年代だけにモチベーションも低い。一方で、年功序列の恩恵を受けてきた世代なので給与は高い。
同様の問題が就職氷河期世代をめぐって再現されないだろうか。この世代の正社員雇用は、政府の雇用政策にとってはプラスだが、組織の核となる年代の30代後半から40代半ばに、正社員未経験者が加わることにはリスクをともなうのではないか。
一般に、この年代には管理職としてのスキルが求められる。たとえ数人でも部下を率いた経験がないと、一兵卒で働くことになるが、一兵卒には専門職として稼働できるだけのスキルが不可欠だ。氷河期世代がこれらの要件を満たすかどうか。
下の世代よりも業務成果を上げないと、やがてお荷物世代になりかねない。
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