2019/10/23
「ドトールコーヒーショップ」を運営するドトールコーヒー(東京都渋谷区)は、今年度から本社の年間休日を「119日」に固定した。従来は土日祝日を公休日としていたが、変更により一部の祝日が出勤日となった形だ。出勤日となった祝日については「有給奨励日」という形を取っている。同社と、さらにグループ会社で厨房設備の販売などを手掛けるマグナ(東京都港区)の従業員が対象だという。労働組合はないため、過半数代表者の同意によって就業規則を変更した。
広報担当者は、「有給休暇の取得について、まだまだ取得しづらい空気がある。こうした状況を打破するために変更を行った」とコメント。しかし、そうであればもともとの出勤日を奨励日にすれば足りる。これについては「改元などで祝日が多くなり、調整する必要も生じた」とも話し、義務化された有給休暇の取得と、「多すぎる」祝日との調整とを合わせて行った形だ。
(中略)
こうしたケースを、厚生労働省はどう受け止めているのか。
同省の担当者は、「まず、就業規則の変更については労働者の同意が必要」とコメント。労働組合の同意や、従業員の過半数を代表する者の合意が必要とされ、ドトールのケースでは問題ない。
一方で、「法定休日以外を『労働日』という扱いにして有給を取得させるのは望ましくない」(担当者)。((ITmediaビジネスONLINE 10月16日)
この事例からは、なんとか合法性を担保しようと腐心している痛々しさが伝わってくる。
弥縫策でなく、もっと正攻法で有給取得に取り組めばよいと思うが、人手不足や社風など相応の事情があるのだろう。
労働者の代表と合意としたとはいえ、力関係を考えれば、労組というバックをもたない労働者代表は拒否しにくい。労組が結成されていても、ストライキなどで会社側に緊張感を求める労組など、いまやほとんど存在しな。抵抗の時代はとうに消え去ったのだ。
こうした“合法手段”は増えていくのだろうか。
一方、厚生労働省はドトールコーヒー子会社の「有休奨励日」制度について「望ましくない」と思うのなら、訪問して調査したらよい。そして労務管理の担当役員に「違法ではないが、望ましくない」と明言すれば、ドトールコーヒーも検討し直さざるをえまい。
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