企業が「リクルーター」の活用に動き始めた。若手社員を出身大学に送り、後輩の学生に会社や仕事をアピールする取り組みだ。採用難に加え、2016年卒からは就活解禁時期のずれ込みで採用期間が短くなる。有望な学生にいち早く接触を試みる企業の危機感の表れだが、人材争奪は一段と過熱しそうだ。
東洋ゴム工業は今年、7年ぶりにリクルーター制度を復活させる。12月ごろから社員を大学に送り、学生に事業概要や仕事の内容を伝える。16年卒の採用期間が短くなるため、「学生に会社の理解と関心を高めてもらう」(同社)のが狙いだ。
NECは15年卒の採用活動からリクルーターの人数を従来の1・5倍の約1500人に拡充した。ファーストリテイリング傘下のリンク・セオリー・ジャパンは16年卒の採用から導入を検討中。「リクルーターの知り合いの就活生に接触することで求める人材像に近い学生を引き寄せる」(ファストリ)という。
(日本経済新聞8月30日)
ネットによる就職活動が主流になって、一時、下火になったリクルーターだが、新卒採用が売り手市場になって再び盛んになってきた。
特に理科系では、企業側が各大学の学部、学科別に採用枠を割り当てて募集するため、各大学の学部・学科別に従業員の中からリクルーターを選抜して大学を訪問させることが多い。
筆者も10年程リクルーターとして学生に接した経験があるが、一人一人の学生の人生観や将来の夢を聞きながら、希望に沿った業務の職場見学をさせるなど、採用試験での10分足らずの面接とは異なり、人生の先輩として学生達と深く関われたことは、お互いに有意義であった。たとえ自社でなくても、関わった学生達が自分に合った職場を見つけてくれれば、先輩としては達成感がある。
単に優秀な学生を確保するためだけでなく、学生と企業の求めるもののミスマッチを防ぐという観点からもリクルーターの活用を考えるべきだ。
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