2019/09/11
就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京)が就職活動中の学生の内定辞退率を予測したデータを企業に販売した問題で、厚生労働省が近く同社に職業安定法に基づく行政指導を行う方針を固めたことが3日、分かった。
学生が不利益を被る可能性のあるデータを、本人の同意を得ずに提供したことが、同法の指針に反すると判断した。
リクルートキャリアはリクナビを利用する学生の閲覧履歴などを人工知能(AI)で分析し、内定辞退率を算出。採用の合否判定に使わないと約束をした38社に販売していたが、7983人には本人の同意を得ていなかった。
厚労省はこれまでにリクルートキャリアに対し、立ち入り調査などを実施し、事実確認を進めていた。販売先の38社については今後も調査を継続する方針。(時事通信 9月3日)
リクルートキャリアからデータを購入した38社が「採否の合否判定に使用した」と答えるはずはない。当然ながら「採否の合否判定に使用しなかった」と答えるものだ。しかも38社からリクルートキャリアにデータが提供されている。
日本経済新聞(9月4日付)はこう報じている。
38社は過去の就活生に関するデータをAIの学習データとしてリクルートキャリアに提供していた。こうしたデータを提供する際、就活生の同意を得ていなかった可能性があるが、個人情報保護法で本人の同意が不要になる業務委託に当たるかが焦点になっている>
38社が対応を誤ると信用低下に陥って、採用活動にも影響がおよぶ。すでに弁護士を交えて購入から使用に至る事実関係の調査や、厚労省の調査対策、メディア対策を講じているのではないか。
リクルートキャリアも事実関係を調査して、責任の所在を明確にしたうえで再発防止策を公表するのだろうが、一般論として、不祥事が発生した場合、責任が取締役までおよばないようにトカゲの尻尾切りで幕を引く組織本能がうごめき出す。
リクルートキャリアと38社はどんな予防線を張ってくるのだろうか。
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