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「人手不足で倒産」高水準、年間最多更新も

人手不足を原因とする倒産が高水準で推移している。2019年1~7月に累計200件を超え、通年では過去最高だった18年を上回る可能性がある。有効求人倍率が約45年ぶりの水準で推移する中、介護など労働集約型のサービス業などの中小企業が人手を確保できない。従業員の退職もあり廃業に追い込まれている。10月以降は各地で最低賃金の引き上げが予定され、経営の重荷になりそうだ。
民間信用調査会社の東京商工リサーチによると、求人難や従業員の退職など人手不足による倒産が1~7月は227件で、前年同期と同じペースだ。18年は387件で、集計を始めた13年以降、年間ペースで人手不足に関連した倒産が最も多かった。商工リサーチは「このペースで推移すると今年は年間ベースで過去最高を塗り替える可能性がある」と見ている。
(中略)
要因別で増加率が最も高かったのが「従業員退職型」だ。中核社員の転職などで事業継続に支障が生じたケースで、2.9倍の25件に達した。
(日本経済新聞 8月18日)

生産性向上、女性活用、高齢者活用、外国人活用――人手不足対策はおもにこの4つだが、いよいよ限界に達したのだろうか。他に有効な手段があればよいが、現状ではこの4つである。

このうち、高齢者について、こんなデータがある。労働政策研究・研修機構作成の「データブック国際労働比較(2008)」によると、65~69歳の就業率(男女計)は、アメリカ=31.0%、イギリス=21.0%、ドイツ=15.5%、フランス=6.3%、日本=42.9%だった。
元厚生労働事務次官の二川一男氏は、さる7月27日に開かれた一般社団法人医療法務研究協会のセミナーで、このデータから高齢者活用の余地を指摘した。

「ヨーロッパ各国の就業率が低いのは、仕事は人生を楽しむための手段というような考え方が背景になるのだろう。アメリカの就業率は、社会の各層における様々な経済的事情が反映された結果かもしれない。日本の場合、60代後半はかなり就業しているが、半数に至っていないので、まだ就業者の増える余地はある」

60代後半以降の就業率を引き上げるために、おそらく公的年金の支給時期も引き上げられ、仕事こそ人生の楽しみという世論形成も進むに違いない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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